老後必要な資金は2,000万円?4,000万円?

少し前の話になりますが、「老後2,000万円問題」という言葉が話題となりました。また、2024年に入り老後には4,000万円必要という話も出てきました。果たして、これから老後は4,000万円必要なのでしょうか?今回はこれらの話題について考えてみます。

老後2,000万円問題とは

そもそも老後2,000万円とはどういうことか見てみましょう。

2,000万円という金額(以下のリンク資料P16)は、金融庁の金融審議会の市場ワーキング・グループ報告書が根拠となっています。https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf

この報告書によると

算定の対象世帯:高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)

毎月の収支:△54,520円=209,198円(収入)-263,718円(支出)

30年間での不足額:2,000万円(≒△19,627,200円=△54,520円×12か月×30年)

となるとのことです。

まとめると、老後2,000万円問題の詳細は、高齢夫婦無職世帯が一般的な生活を30年間生活すると仮定すると毎月約5万円の赤字となるため、2,000万円別途資金が必要となりますということです。

老後4,000万円問題とは

上記の老後2,000万円の根拠となった報告書は令和元(2019)年6月に公表されたものですが、2024年になると金額が倍になって老後4,000万円問題という言葉も出てきました。

こちらは、上記報告書を元に、今後も物価上昇が3.5%続いた場合、20年後には約4,000万円が必要ということのようです。

実は

上記報告書の根拠となっている収支(以下のリンク資料P24)の出所は、総務省「家計調査」(2017年)となっています。https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/market_wg/siryou/20190412/02.pdf

今となっては参考とするデータが少し古いですよね。そこで、最新の総務省「家計調査」(2023年)をもとに同様に計算してました。

算定の対象世帯:高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)

毎月の収支:△38,959円= 245,252円(収入)- 284,211円(支出)

30年間での不足額:1,400万円(≒△14,025,240円=△38,959円×12か月×30年)

少し話題となっていた老後に必要な資金2,000万円は最新のデータに基づくと1,400万円となりました。

さいごに

1,400万円という金額は、あくまで高齢夫婦無職世帯を前提として一般的な生活をする場合、それくらい必要だということです。当然、それぞれ年金の受給額はそれまでの収入により異なりますし、老後に働いて収入が増える方もいれば、趣味などで支出が多くなる方もいるでしょう。つまり、人それぞれ老後のライフスタイルは異なります

金額ばかりが独り歩きしないためにもいくら必要かよりも自身の老後をより具体的にイメージしてみましょう!そうすることで必要な老後資金がより明確になります。

以前、老後に必要な資金の考え方については以下の記事を参考にしてみてください。

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