いよいよ今年も残すところあと1か月を切りましたね。来年から新NISAが始まるため、新NISAでどう投資していくかを悩む方も多いことかと思います。それも大事ですが、課税口座で上場株式等への投資をされている方が年末までにやっておきたい税金対策を今回は説明していきます。
対象となる方
まず、今回の話の前提となる対象者は、以下の2要件を満たしている方です。これらに該当する方は、基本的に確定申告せずとも税金の還付が行われます。(大口株主等に該当する方は対象外となりますが、ここでは省略します。)
1.口座の種類として「特定口座(源泉徴収あり)」を選択している
2.配当金・分配金の受取方法として「株式数比例配分方式」を選択している
所得税について
ご存じの方も多いかとは思いますが念のため。
1年の区切り方として、1月~12月を一区切りとする場合と4月~3月を一区切りとする場合が一般的かと思います。所得税は、前者の区切りで1年間を考えます。そのため、区切り目である12月末までに行動しておかないとその年の所得税は後から減らすことはできなくなってしまいます。
含み損は確定損失へ
継続して保有することを前提とする場合、保有している保有銘柄で含み損を抱えている銘柄は一度売却し、再度購入するようにしましょう。損失を一度確定させてしまうことで、今年中に発生した売却益や配当と相殺でき、その際に徴収された所得税等の税金が還付されます。
(還付の時期)
売却益との相殺分:受渡日
配当との相殺分:翌年年初
(還付の金額)
確定した損失額×20.315%
複数の証券口座をお持ちの方は注意が必要
1つの証券口座で全て取引をされている方は、含み損を売却益+配当金の合計額まで確定損失とするだけでかまいませんが、複数の証券口座で取引をされている方は少々注意が必要です。
例えば、以下のような場合です。
売却益 配当 | 含み損 | |
A口座 | 30 | ▲45 |
B口座 | 70 | ▲30 |
合計 | 100 | ▲75 |
B口座の場合は、利益(売却益+配当)>含み損となっているため、売却→再購入の流れでよいのですが、注意が必要となるのはA口座です。
利益(売却益+配当)<含み損となっているため、含み損分を全額売却すると利益を上回っているため、そのままにしておくと差額の「15」は損失として確定したままで終わってしまいます。そうしないためには、確定申告をしてA口座と合算する必要があります。
この確定申告時にも注意すべき点があります。合計では利益(売却益+配当)>含み損となっているため、国民健康保険料等の計算に影響が生じます。
保有している各口座の利益(売却益+配当)の金額まで含み損を確定損失とし、残りの含み損は、翌年以降確定させる方法がおススメです。
おわりに
まだ確定していない損失を確定させることは、負けを認めてしまうことのようでなかなか一歩踏み出しにくいことかもしれません。
では、「今年の税金が少なくなりますよ!」といわれるとどうですか?
それならやってみよう!と思ってもらえたらとても嬉しいです。
今回の内容は、制度が変更とならない限りは、毎年使える方法ですので今年は活用できなかった方も来年以降ぜひ活用を検討されてみてください。