10月に入り住宅ローンの基準金利の引き上げのニュースを見る機会が増えてきました。住宅ローンは住宅金融支援機構の住宅ローン利用者の実態調査 【住宅ローン利用者調査(2024年4月調査)】によると変動金利で借り入れする方の割合が76.9%あるそうです。そこで今回は、変動金利で借入されている方は今後の対応でどのような状況となるか考えていきたいと思います。
はじめに
基準金利が上昇した場合でも、すぐには毎月の返済額が上昇するわけではありません。一般的には、年2回(3,9月など)基準金利を見直し、その後返済額への反映が行われます。参考として、三菱UFJ銀行の基準金利についてのリンクを記載します。
何もしない
5年ルール、125%ルールがある場合
これは、5年ごとに返済額の見直しを行うためその期間中に金利が上昇しても、毎月の返済金額は維持(5年ルール)され、その後の返済額は金利が上昇してもその125%以内(125%ルール)となるルールのことです。
具体的には、毎月の返済額が100,000円の場合、次回(5年ごとの見直し)改定時の毎月の返済額は125,000円以内となるということです。
返済額は改定まで同額ですが、金利が上昇している場合は内訳に占める利息の割合が大きくなるため、元金の減少スピードがゆっくりとなります。つまり、このルールがない場合に比べ返済総額は大きくなります。
なお、このルールが設けられているのは、住宅ローンの金利が変動金利かつ返済方法が元利均等返済(毎月の返済額が同額の返済方法)の場合のみです。
5年ルール、125%ルールがない場合
上記【はじめに】で記載したように、基準金利の見直し後、返済額が変動します。そのため、返済額の上昇幅によっては、家計の見直し等の必要となる可能性があります。ある程度貯蓄がある場合は、下記【繰り上げ返済】、【借り換え】も検討するのも良いでしょう。
繰り上げ返済
ご存じのとおりこれは、住宅ローンの契約時の返済計画よりも早く返済を進めていくことです。
繰り上げ返済には以下の2つの方法がありますが、どちらの方法で繰り上げ返済を行った場合も、上記【何もしない】の場合に比べ返済総額は少なくなります。
なお、金融機関によっては、繰り上げ返済時に手数料が必要な場合があります。
期間短縮型
繰り上げ返済した分、住宅ローンの返済期間が短縮される返済方法です。
この場合、繰り上げ返済した分の利息が少なくなるため、総支払額が減少します。
ただ、毎月の返済額は上記【何もしない】と同様となります。
そのため、繰り上げ返済後も必要十分な貯蓄があり、毎月の収入で(返済額が上昇しても)毎月の返済を無理なく支払える場合に適しています。
返済額軽減型
繰り上げ返済した分、毎月の返済額が軽減される返済方法です。
この場合、繰り上げ返済した分が毎月の返済額から控除されるため、毎月の返済額が減少します。ただ、総支払額は期間短縮型に比べ多くなります。
そのため、返済総額と毎月の返済額の上昇を最小限に抑えたい場合に適しています。
借り換え
ご存じのとおりこれは、現在の住宅ローンから別の住宅ローンに契約を変更することです。今回は、変動金利の住宅ローンから固定金利の住宅ローンへの借り換えを前提に考えます。
返済額
住宅ローンの金利は、一般的に変動金利より固定金利の方が高くなります。そのため、同じ返済期間であれば、固定金利を選択した方が毎月の返済額は高くなります。
必要な費用
借り換えにおいては、以下のような費用が必要となります。
・手数料(事務扱手数料、司法書士報酬等)
・税金関係(登録免許税、印紙税)
・その他(保証料、保険料等)
結局
返済額は高くなるし、必要な費用が発生するし借り換えはメリットがないようですが、以下のような場合には、借り換えを行うことを検討するのもありです。
・今後も金利上昇傾向が続き、借り換え時の固定金利<変動金利となると考えている場合
・毎月の返済額を固定させ、今後の返済額の変動を心配したくない場合
おわりに
住宅ローンの今後の対応については、毎月の返済額を重視するのか、返済総額を重視するのかなど何を優先するかによってどの方法を選択するべきか異なってきます。どうすべきか悩まれている方は、まず自分が重視するのは何か明確にしてみてください。そうすると今後どう対応するか決めやすくなると思いますよ。